不動産売買契約書約款を分かりやすく。その4

第9条、13条、14条、15条は契約後に、各種事情により解約せざるを得ない時の、それぞれのルールを双方が共通の理解をしておきましょう、という条項です。


第9条(引渡し前の滅失等)


①本物件の引渡し前に天災地変、その他売主、買主いずれかの責に帰すべからざる事由により本物件が滅失もしくは毀損し本契約の履行が不可能となったときは、売主、買主は本契約を解除することができます。ただし、毀損が修復可能なときは売主は、その負担において、それを修復し買主に引渡すものとします。


②前項により本契約が解除された場合、売主は買主に受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還しなければなりません。


売主、買主どちらの責任でもなく、やむを得ず契約を解除せざるを得ない時のルールで、手付金は無利息で返還して契約を解除しましょう。地震とか火災など(天災地変)で履行不能となった場合がこれに該当します。


第13条(手付解除)


①売主および買主は、本契約の日から表記期日又は第一回内金の支払日のどちらか先に到来する期日までは、たがいに通知のうえ本契約を解除することができます。

②売主が、前項により本契約を解除した時は、売主は、買主に対して受領済みの手付金を返還し、かつそれと同額の金員を支払うものとし、買主が解除した時は、買主は、売主に対して支払い済みの手付金を放棄しなければなりません。


当事者が手付金の額だけの損失を覚悟すれば、相手方に落ち度がない場合でも、お互いが了解して決めた期日(表記期日)までなら、契約を解除できるという趣旨です。いわゆる、「手付け流し」「手付け倍返し」がこれです。


第14条(契約違反による解除)


売主または買主のいずれかが本契約にもとずく義務の履行をしないときは、その相手方は、不履行した者に対して催告のうえ本契約を解除し、違約金として表記金額を請求することができます。


2.3.は省略


当事者のどちらかが、約束を果たそうとしない時のルールです。 催促をしたうえでも履行しない時には、契約を解除して、違約金(手付金と同額が一般的)を請求できる、というルールにしておきましょうという条項です。


第15条(融資利用の特約)

  • 買主は、売買代金の一部に表記の融資金を利用する場合、本契約締結後すみやかにその融資の申し込み手続きをしなければなりません。
  • 前項の融資が否認された場合、買主は表記の期日内であれば本契約を解除することができます。
  • 前項により本契約が解除された場合、売主は、買主に受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還しなければなりません。

買主が住宅ローンを前提にして購入する場合の取決めです。融資申し込み時には、売買契約をしておく必要があります。万一、拒否されたり、減額されたりした時に、買主の購入が不可能となる場合があります。これはやむを得ない事情のため、手付金を無利息で返還して白紙解約できるルールにしておけば、双方が安心して契約できるという条項です。

不動産売却ワンポイントアドバイス

4回にわたって解説してきました。まとめると売買契約書とは下記の点を双方が合意して成立するということです。

  • 土地.建物.付帯設備の現状と瑕疵の申告 、売買代金の合意、取り扱いのルールの合意
    (第1、10、12条)
  • 境界明示と面積に関する合意、支払い方法に関する合意
    (第2、3、4、5条)
  • 所有権移転の方法と費用の分担に関する合意
    (第6、7、8、11条)
  • 契約後にやめざるを得ない事態が発生した時、それぞれの場合のルールに関する合意
    (第9、13、14、15条)
筆者の独り言

双方が話し合いを始めて、合意に至るまでの約束事を書類にした物が売買契約書です。売主、買主、仲介業者の3者が「共通の理解をしている契約 」は必ず成功します。

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