難解なイメージのある不動産売買契約書約款を分かりやすく。その3

第6条(所有権の移転および引渡し)


①本物件の所有権は、買主が売買代金全額を支払い、売主がこれを受領したときに売主から買主に移転します。


②売主は、買主に本物件を前項の所有権移転と同時に引き渡すものとします。ただし表記に引渡し日を定めたときはそれによります。


具体的に決済当日のイメージを書いてみます。


買主が融資を受ける銀行に、売主.買主.司法書士.融資担当者.(対象不動産に抵当権設定している銀行等).仲介担当者が一同に会し、売主は所有権を移すのに必要な全てと鍵等を、買主は残金と各種精算金を、同時交換します。住宅ローン残が有る場合、残金の中から支払いをします。取引完了と同時に、司法書士が法務局へ行き、所有権移転や抵当権設定の手続きを完了させます。


②は売主が買替えを同時並行的に行っている場合に、特別な取決めをする時の条項です。


第7条(抵当権の抹消)


売主は、前条の所有権移転の時期までに、その責任と負担において本物件につき、先取特権.抵当権等の担保権、地上権.賃借権等の用益権、その他名目形式の如何を問わず、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を除去抹消しなければなりません。


特に多いのが

  • a.住宅ローンの抵当権が付いている場合
  • b.賃借人が住まい中の家を立ち退いてもらう事を前提に売買するような場合

上記の2パターンです。

  • a.は事前に返済をしておく方法、又は決済日に買主から頂く残金の中から返済する方法の2通り有り、後者の交渉から始めるのが一般的です。
  • b.がある場合は、少なくとも、確約が取れた時以降、できれば退去後に契約するほうが良いという条項です。

第8条(所有権移転登記等)


売主は、売買代金全額の受領と同時に本物件について、買主と協力して、買主または買主の指定する者の名義に、所有権移転登記の申請手続きをしなければなりません。ただし、この登記に要する費用は買主の負担とします。


売主は、売渡証書の作成費用を司法書士へ支払い、買主は登録免許税と手数料を司法書士に支払って、所有権移転の手続きを、第6条のように行いましょう。


登記名義人は、契約時と変更されてもかまいませんが、売買契約書の再作成が伴いますので、早めに営業担当者に申し出てくださいという条項です。


第11条(公租公課の分担等)


本物件から生ずる収益または本物件に対して賦課される公租公課およびガス、水道、電気料金ならびに各種負担金等の諸負担については、第6条の引渡し日の前日までの分を売主、引渡し日以降の分を買主の収益または負担とし引渡し日において清算します。なお、公租公課の起算日は1月1日とします。


残代金以外の固定資産税.都市計画税.その他の負担方法です。

  • 所有権移転日の前日までを売主、それ以降を買主の負担と決めましょう。
  • 決済日当日に残代金とは別途、買主から売主に一括して支払い、売主がそれぞれに清算することにしましょう。
  • 決済日の約1週間前には担当営業マンが計算書を示して、ご案内をします。
不動産売却のワンポイントアドバイス

数多くの職種の人の協力を得て、作業が進んでいきます。その調整と段取りをするのも担当営業マンの大きな仕事の一つです。注意深く行います。

筆者の独り言

利益相反取引 であり、特殊な取引であるため、担当営業マンの資質と経験が、気分の良し悪しを決定するということがお分かりいただけると思います。

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