不動産売買契約書の約款は非常に難解なイメージがあります。特に事前に知っておいたほうが良い条項を判りやすく、数回に分けて説明していきます。
(個人が売主の土地建物公簿売買契約書を例にとって進めます。)今日はその1です。
第1条(売買の目的物および売買代金)
売主は、買主に本物件を現状有姿のまま表記売買代金で売り渡し、買主は、これを買い受けました。
次に説明しますが、第10条(付帯設備の引渡し)で約束する土地、建物、付帯設備の状態を前提にしての売買を了解し、引越し後の修理はしない事を「現状有姿」と表現します。そのためにも、土地建物の現状、修理の履歴について調査(査定)報告段階までに担当者にできるだけ正確に詳細を伝える事が重要です。それも含めて販売価格に反映し、買主への事前説明をしたうえで、購入の申し出があれば、この第1条が売主にも買主にも安心できることになります。
第10条(付帯設備の引渡し)
売主は、別紙付帯設備表のうち引き渡すべき設備等については、本契約締結時の状態で引き渡すものとし、引渡し時においてこれと異なる状態であれば、売主の負担において修復して引渡すこととします。
- 土地建物の状態
配管状況、地盤の状況、雨漏り、シロアリの害、主要な木部の腐蝕、給排水その他の売主が知っている状況を書類で申告する。 - 付帯設備の状態
給湯関係、水周り関係、空調関係などの設備の有無、故障の有無を書類にして申告する。
この状態での第1条現状有姿の条件でこの価格ですよと、案内時に現物を見てもらい口約束ではなく、書類で取り決めておけば双方が納得できるという条項です。
第12条(瑕疵の修復)
売主は買主に、本物件を現状有姿のまま引渡すものとします。ただし、売主は、本物件について引渡し後、3ヶ月以内に発見された土地の隠れたる瑕疵及び建物の雨漏り、シロアリの害、建物構造上主要な部位の木部の腐蝕、給排水設備の故障についてのみ、買主に対して責任を負うものとします。なお、買主は、前記瑕疵を発見した時は、すみやかに売主に通知し、修復に急を要する場合を除いては、立ち会う機会を与えなければなりません。
2.3.省略
土地建物の瑕疵(キズ)を①隠れた瑕疵、②それ以外の瑕疵大別します。
第1条と第10条の取決めは②それ以外の瑕疵の扱いについてです。
この第12条では①隠れた瑕疵=住んでみなければ判らない瑕疵の内の4項目については、3ヶ月以内(いつまでも責任を持つのでは売主にとっては困ります。)に発見された場合に限って、売主が責任を負うと約束しておけば、双方が納得できるという条項です。
土地、建物、付帯設備の状況と瑕疵については以上の第1条第10条第12条で双方が約束することになっています。
物件案内をする時に、担当営業マンが現場を見ながらこの3つの条項に沿った説明をしておくと、売買契約時にこの条項が理解しやすいでしょう。
「必要充分な説明の上で買って頂く。」これがあればトラブルはありません。このためのお手伝いをするのが、仲介業者の役割と考えています。